HOUSING & BUILDING PRODUCTS REPORT · 2026.08
LIXIL 5938
利回り5.13%・年間90円を5期連続維持 。 高配当と長期非減配実績を持つ一方、 現在は利益で配当をまかなえていない 業績回復待ちのターンアラウンド高配当株。
投資判断の要点
LIXILは、 住宅用サッシ・建材・水回り設備などを 国内外で展開する大手住宅設備メーカーです。
現在は、 利回り5.13%、 年間90円配当を5期連続維持、 17期連続非減配予想 と、表面上の配当条件は魅力的です。
しかし、 現在の利益水準では その90円配当を十分にまかなえていません。
高配当維持型ターンアラウンド
90円配当を維持する意思は強いものの、 利益・キャッシュフロー面の裏付けが弱い状態。 2Q以降の回復確認を優先します。
主要投資指標
5.13%でも過去平均とほぼ同じ
| 決算期 | 期末配当利回り |
|---|---|
| 2024年3月期 | 4.79% |
| 2025年3月期 | 5.21% |
| 2026年3月期 | 5.55% |
| 3年平均 | 5.18% |
| 現在 | 5.13% |
利回り5%超は絶対水準としては高いですが、 過去3年平均とほぼ同水準です。
したがって、 利回りだけで見れば 現在が特別な割安局面とは言えません。
年間90円を5期連続で維持
年間配当推移
| 決算期 | 年間配当 |
|---|---|
| 2018年3月期 | 65円 |
| 2019年3月期 | 70円 |
| 2020年3月期 | 70円 |
| 2021年3月期 | 75円 |
| 2022年3月期 | 85円 |
| 2023年3月期 | 90円 |
| 2024年3月期 | 90円 |
| 2025年3月期 | 90円 |
| 2026年3月期 | 90円 |
| 2027年3月期予想 | 90円 |
LIXILの配当方針
90円配当を利益だけではまかなえない
2027年3月期予想EPSは約41.75円。
年間配当90円は、 予想利益の2倍以上になります。
90円を健全に払うために必要なEPS
| 目標配当性向 | 必要EPS |
|---|---|
| 50% | 180円 |
| 60% | 150円 |
| 70% | 約129円 |
| 100% | 90円 |
| 会社予想EPS | 約41.75円 |
最新1Q|事業利益▲81.3%・最終赤字
| 項目 | 1Q実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3,792.12億円 | +4.0% |
| 事業利益 | 16.9億円 | ▲81.3% |
| 営業利益 | 17.62億円 | ▲74.3% |
| 最終損益 | ▲35.07億円 | 赤字拡大 |
| EPS | ▲12.20円 | ― |
| 営業CF | 79.86億円 | ▲59.1% |
増収でも利益が出ていない
売上収益は4%増加しています。
しかし、 アルミ・石油化学製品などの資材価格上昇、 海外市場低迷、 物流費増加などにより 利益は大幅に悪化しました。
1Q減益の主因
アルミ価格
サッシなどの主原料である アルミ価格上昇が利益を圧迫しています。
石化製品
樹脂・石油化学原料などの 材料価格上昇もコスト増要因です。
国内リフォーム
収益性の高いリフォーム売上比率が低下し、 国内ハウジング採算が悪化しました。
中国
住宅・不動産市場の低迷が 売上・利益の重荷になっています。
米国
住宅市場低迷によって 海外事業の利益回復が遅れています。
中東物流費
地政学リスクに伴う 物流コスト増加が ウォーター事業の利益率を圧迫しています。
通期予想は据え置き、下期回復が前提
| 項目 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆6,000億円 | +5.9% |
| 事業利益 | 450億円 | +16.9% |
| 営業利益 | 375億円 | +32.0% |
| 最終利益 | 120億円 | +47.4% |
| EPS | 約41.75円 | ― |
| 年間配当 | 90円 | 据え置き |
今後の回復シナリオ
価格改定
住宅設備は8月、 サッシ・エクステリアは10月以降に 値上げ効果が本格化する予定です。
海外ウォーター
GROHEなどを中心に 欧州・中東・インド・アフリカで 成長余地があります。
国内リフォーム
断熱窓、 省エネ改修、 水回り更新需要が 国内住宅市場縮小を補う重要テーマです。
構造改革
工場再編、 物流効率化、 固定費削減によって 利益率改善を目指します。
AI・DX
業務効率化や生産性改善によって 中長期的な固定費削減を狙います。
高付加価値化
断熱・節水・省エネ商品を増やし、 単純な住宅着工依存を低下させることが重要です。
財務とキャッシュフローにも注意
配当支払い
1Qの配当支払額は 約129.4億円です。
一方で、 フリーキャッシュフローは マイナスとなっています。
投資CFには一時要因もある
投資CF悪化には 余剰資金の短期運用が含まれており、 次四半期に解消する予定です。
重点リスク
減配リスク
配当性向200%超が続く場合、 90円配当を長期維持する負担が大きくなります。
利益回復遅延
価格改定が浸透しなければ、 通期利益計画の達成が難しくなります。
国内住宅市場
人口減少に伴い、 新築住宅着工の長期縮小が予想されます。
海外市場
中国・米国住宅市場の低迷が 海外利益の回復を遅らせる可能性があります。
低ROE
ROEは1%台。 PBR0.75倍には 低い資本効率が織り込まれています。
明確な配当下限なし
DOE下限・累進配当・最低配当などの 明確な保証がありません。
総合評価レーダー
年間配当90円から逆算した買い水準
次の2Qで必ず確認したい5項目
① 事業利益
1Q16.9億円から 明確な利益回復が始まっているか。
② 価格改定
値上げが販売価格へ どの程度浸透しているか。
③ 通期450億円
事業利益450億円の会社計画が 維持されるか。
④ 営業CF
利益回復とともに 営業キャッシュフローが改善するか。
⑤ 年間90円
配当予想90円に変更がないかを 最優先で確認します。
下方修正なら再評価
利益・配当予想が下方修正された場合、 買い水準自体を再計算する必要があります。
LIXILを買うなら狙うシナリオ
① 値上げ浸透
価格改定によって 資材高を吸収し、 国内利益率を回復させる。
② 海外改善
GROHEを中心とした ウォーター事業で収益を回復させる。
③ 配当正常化
EPSを引き上げ、 配当性向を100%以下へ戻すことが 最大の再評価材料です。
最終判断:Cランク64点。1Q時点では見送り、2Q確認を優先。
LIXILは、
利回り5.13%、
年間90円配当、
長期非減配実績、
PBR0.75倍、
という表面的には魅力的な条件を持っています。
しかし、
予想配当性向約215.6%、
前期配当性向317.7%、
予想PER約42倍、
1Q最終赤字、
事業利益進捗3.8%、
自己資本比率33.8%、
DOE・累進配当・配当下限なし、
という弱点があります。
特に、
「高配当だが、その配当を現在の利益では稼げていない」
という点を最も重視する必要があります。
したがって、
現段階では急いで買う必要はありません。
高配当ポートフォリオでの位置づけ
LIXILは現時点で、 主力の高配当株として組み入れるタイプではありません。
配当安全性
配当性向200%超。 主力枠には不向きです。
回復余地
価格改定と構造改革が成功すれば、 利益改善による株価上昇余地はあります。
現在の扱い
ターンアラウンド枠。 保有する場合でも ポートフォリオ比率は抑えたい銘柄です。
- 株価: 2026年8月21日終値1,756円
- 年間配当: 2027年3月期会社予想90円
- 3年平均配当利回り: 2024年3月期〜2026年3月期の期末利回りを単純平均
- 予想PER: 株価1,756円÷会社予想EPS約41.75円で概算
- 最新業績: 2027年3月期第1四半期決算
- 株主還元: 中期EBITDA・キャッシュフロー・財務・成長投資等を総合的に考慮











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